廃止から1年経った高崎競馬場レポート


廃止から1年経った高崎競馬場入口
2005年12月25日撮影

2004年12月31日。高崎競馬場は廃止となり、長い歴史に幕が降ろされた。
高崎競馬は廃止となったものの、JRAと他場の地方競馬の場外馬券場としての機能は、2005年になっても存続し、
4月からは地方競馬の場外馬券は「BAOO高崎」として再スタートを切った。

高崎競馬場の跡地利用については、現在JFLに籍を置き、将来Jリーグ加入を目指している、
FCホリコシのためのスタジアムを建設する案が出ているが、いまだ正式な決定には至っていない。
2006年にはJRAの場外発売も、全競走に拡大されることが決まっており、もうしばらくは安泰といったところであろうか。

そんなわけで、廃止から1年が経った高崎競馬場の今を、レポートとしてお伝えしようと思う。



場外馬券場の建物。有馬記念当日ということで、午前中ながらいつもより人手が多い。

2005年12月25日。ディープインパクトが出走することで注目されていた、有馬記念当日。
私は馬券を買うついでに、このレポート用の撮影をするため、午前11時半に高崎競馬場に到着した。
あらかじめ決めておいた馬券の購入を済ませると、高崎競馬場正門の撮影からとりかかった。

1枚目と2枚目の写真からわかるが、JRAの場外馬券場と、地方競馬の場外馬券場は、一応別組織となっている。
場外馬券売り場は、高崎競馬が開催されていた時の機能をそのまま引き継いでいるため、建物も機械もそのままである。
競馬場内の飲食店もそのまま営業を続けており、今なお馬券を買いに来た人達によって盛っている。


いまなお営業を続けている飲食店のひとつ

馬券売り場に入る前に、高崎競馬開催時には賑わっていたと思われる、パドックの今を見てみよう。
3枚目の写真の建物の奥に、今なおパドックが残っている。
高崎競馬が廃止になった今では、ほとんど人が寄り付かない場所となってしまい、寂しい限りである。



元高崎競馬のパドック

廃止になった今だから言えることだが、こうして観ると非常に簡素で小さいパドックである。
いかにも地方競馬らしい雰囲気である。今でもパドックの砂は管理されているのであろうか、綺麗である。
いや、人が寄り付かなくなったからか。


JRAの場外馬券売り場。
左が1階正門側、右は2階スタンド側。さすがに1階は黒山の人だかりである。


地方競馬の場外馬券売り場。
左は1階正門側、右は今は使用されていない2階グランド側の高崎競馬の馬券売り場。


高崎競馬の特別観覧席の売り場も、今はシャッターが下りたまま。

場外馬券売り場は、正面向かって右側が1、2階ともJRA、左側1階が地方競馬となっている。
当然のことだが、JRAの馬券売り場のほうが人が多い。
しかし地方競馬も、大井や川崎などの南関東をはじめとして、
盛岡、笠松、ばんえい競馬などの中から2場の馬券を買うことができ、年配の客を中心に根強い人気がある。

なお2階には、今は使用されていない高崎競馬の馬券売り場も残っている。シャッターが閉まっているが。
ほかにも特別観覧席の売り場や、観覧席への入口など高崎競馬の残骸がそのまま残っていて、寂しい空気が漂っている。


スタンドから眺める今の高崎競馬場


観てわかるように、かつてのダートコースはアスファルトになってしまっている

高崎競馬のスタンドは今もそのまま残っていて、競馬新聞とにらめっこしながら馬券を考える人達によって、
いまなお賑わっている。菊花賞の時などは、特別に大型のモニターが設置され、スタンドはレースを観戦する人で、
それはもうすごい賑わいだった。

高崎競馬で使用されていたダートコースは、今はアスファルトで固められてしまい、これまた寂しい限り。
今は馬券を買いに来る人達のための駐車場として利用されている。

こうして眺めてみると、規模としては小さいとはいえ、さすがに競馬場だけあって広々としている。
今は駐車場となってしまった競馬場の景色をスタンドから眺めながら、馬券をどう買うか考えるのもなかなかである。



現在のスタンド。特別観覧席もそのままの姿で残っていることがわかる。

下に降りてスタンドを見上げてみる。高崎競馬開催時には賑わっていたであろう、特別観覧席には人の姿はない。
しかし使われなくなった今でも、そのままの状態で残されている。なんだかもったいない感じである。


正面のストレート

いよいよコースに出てみよう。アスファルトに固められたコースは、駐車場になっていて、自由に歩き回ることができる。
今回は高崎競馬とは逆の左回りで、今のコースの様子をお送りしよう。


第4コーナー

第4コーナーから正面の直線を望む

第3コーナー

向正面のストレート

向正面からスタンドを望む

向正面のストレートを第2コーナーから

第2コーナー

第1コーナー

第1コーナーからストレートを

コースの様子は、画像を観ていただければあえて説明するまでもないであろう。
高崎競馬場は1周1200mと小さいが、ストレートは300mもあり長く感じられる。
廃止となったから、こうして歩いて1周することが出来るわけで、高崎競馬開催時には考えられなかったこと。
コース上を車で走行することも当然でき、騎手になった雰囲気を味わうことができる。

高崎競馬場に馬券を買いに来た人は、ぜひ一度歩いて1周してみることをオススメする。
せっかく場内が開放されているのだから、普段味わえないことを体験してみなければもったいない。


場内にある遊技場。親子連れの客が楽しんでいる。

場内の駐車場の模様

競馬場のコース内にはささやかな遊技場があり、親子連れの客で冬でも賑わっていた。
今日は快晴の上、気温も高かったため、外で遊べる気候だったからか。
その横にはテニスコートも併設されていて、時にはテニスを楽しむ客を見受けることができる。

以上が、廃止から1年が経った高崎競馬場の今である。
場外馬券場としての機能を存続しており、競馬場の施設がそのまま残っていることは、群馬県の競馬ファンとしては嬉しい限り。
とはいえ、馬が走らなくなった競馬場はやはり寂しいものがあり、いつまでも高崎競馬を存続させてほしかった、
という想いがやはり駆け巡ってしまう。今の状態での場外馬券発売がいつまで続くのか私にはわからないが、
せめて競馬場の施設だけはいつまでも残って欲しいと思わずにはいられない。

戻る