新和田トンネル有料道路


新和田トンネル有料道路料金所

新和田トンネル区間 延伸区間
路線名 国道142号線
有料道路区間 小県郡長和町〜諏訪郡下諏訪町 諏訪郡下諏訪町〜岡谷市
総延長 4620m 10.4km
供用開始日 1978年10月4日 2004年3月27日
事業費 80億円 245億円
料金 普通車  600円
中型車  700円
大型車 1000円
特大車 1650円
軽自動車 500円
軽車両等  50円
【歴史】
上田・佐久地方と諏訪地方を結ぶ交通は、主に国道142号線によってなされてきました。
しかしその間には難所の和田峠があり、
峠を越えるにはセンターラインのない狭い道での激しい九十九折に加えて、
信号による交互通行を余儀なくされる和田トンネルを越えなければならないなど問題点が多く、
通行には多大な支障が生じていました。
そこで和田峠に新たなトンネルを開削し、安全な峠越えと時間短縮を図ることとなりました。
その際に、新たに建設される新和田トンネルを、有料道路として建設費を償還することになり、
1974年(昭和49年)9月の着工以来、4年余りの歳月と80億円の費用を投入し、
1979年(昭和54年)3月(昭和53年10月一部供用開始)に完成いたしました。
この道路の開通によって、通年での安全な交通が可能となり、
地域の発展に大きく貢献することとなりました。
しかしその一方で、上諏訪町に流入する車の数が増えたことによる、
町の中心部を通過する国道20号の渋滞の激化が新たな問題となりました。
そこで新和田トンネル有料道路の延伸計画が企画され、下諏訪町の中心部を通らずに、
国道20号線にダイレクトに接続できるバイパスの建設が始まりました。
2004年3月、245億円の事業費をかけて、国道20号下諏訪岡谷バイパスと同時供用を開始いたしました。
これによって、新和田トンネルの延伸部分から上諏訪岡谷バイパスを経由することによって、
長野自動車道岡谷インターへの接続も容易になるため、
今以上に新和田トンネル有料道路への期待も寄せられるものとなっております。
【現在の状況や問題点など】
新和田トンネルは、三才山トンネルと比べると若干その利用価値は薄れるのかもしれない。
三才山トンネルはほとんど代替道路が存在しないのに対して、
新和田トンネルには、和田峠の旧道があるため、有料道路の通行料をケチる車は旧道へ流れてしまう。
また、茅野方面に対しては、白樺湖経由の大門街道国道152号線が走っているため、
新和田トンネルを使わなくても上田・佐久方面との行き来が可能である。
塩尻方面だと、若干通行料が安い三才山トンネルを利用するルートも考えられるから、
本当にこの新和田トンネルを使うと、上田・佐久方面との行き来にメリットがある車は、
諏訪湖を囲む諏訪、岡谷、下諏訪の住民と、伊那市方面からの車くらいだろうか。
その現実が、1日5500台程度の交通量に留まってしまっているのだろう。
もちろん、この通行料でこの交通量なら、全然悪くないのだが、
三才山トンネルが1日8400台もの通行があることを考えると、やはり少ないなと感じてしまう。
三才山に比べてトンネルの長さは短いし(有料道路総延長は長い)、総事業費もかかっていないのを知ると、
なぜ三才山より高い620円もの料金になってしまうのか、という疑問も生じてしまう。
だが新和田トンネルの延伸事業によって、償還期間が25年間から45年間に伸びてしまったことを考えると、
その高い通行料もしょうがないかな、という気にもさせるが。
もっとも延伸事業は延伸事業で、問題があるのだが。
本当なら、今年中に事業費を償還して無料化される予定だったのが、
新和田トンネル有料道路が延伸されたことによって、20年も無料化が先延ばしされたのだから、
この道路を頻繁に利用する人にとってはたまらないだろう。
まして延伸部分の新道は、下諏訪町の中心部に用がある人や、諏訪市に行く人は使わないだろう。
つまり、新和田トンネルを通った車が、すべて新設の延伸道路を通るわけではないのだ。
これでは、新設の道路の事業費を、今までの道路の通行料で返済していくと思われても仕方がない。
長野県道路公社に異議を唱える人がいても、おかしくなだろう。
でも私は、このやり方は間違っていないと思う。
なぜなら、新和田トンネルと延伸部分の関係が、三才山トンネルと松本トンネルの関係に非常に似ているからだ。
松本トンネルは、建設された際に三才山トンネルとのプールによる償還が認可された。
これは、三才山と松本でひとつの有料道路であるという考え方があったからだ。
しかし、松本トンネルは利用台数が低迷し、三才山の利用者の10%ちょっとしか松本に流れなかった。
そのため、県や道路公社には、三才山の無料化についての疑問や反論などが多数寄せられることとなった。
おそらく、長野県道路公社は松本トンネルでの失敗を教訓にしたのだろう。
今回の新しく開通する道路に、独自の名称をつけて新和田トンネルとのプールによる償還にしても、
思ったような交通量に届かなく第2の松本トンネルになってしまう。
それなら新道は新和田トンネル有料道路の延伸区間にしてしまえば、
新和田トンネルの償還期間を伸ばすのも多少納得できるし、批判も少なくなる。
さらにもしかしたら、新道には料金所を設けないかもしれない。
いや、絶対にこの新道部分に新たな料金徴収はさせないほうがいいと思う。
そのほうが、新道に車がかなり流れて、新道の効果を発揮できるだろう。
松本トンネルの二の舞を踏みたくないなら、絶対この方式にすべきだと私は思う。
今年には延伸区間も供用が始まるであろうか。その時に改めて走行してみて、
この道路の考察を再びしてみたいと思う。
【延伸区間開通について】
2004年3月、ついに延伸区間の供用が開始された。
工事はかなり前に終了していたようだが、接続道路の国道20号下諏訪岡谷バイパスの完成をまって、
同時供用となった。
今回開通から1週間後に走行してみたのだが、この道路の効果はかなりのもだと実感した。
以前は新和田トンネルを通ってきた車は、下諏訪町に用のある人はもちろん、
諏訪市方面、岡谷市以南、岡谷インター&塩尻方面と、行き先の違う通過交通全て、
一旦下諏訪町の中心部に入らなくてはならなかった。
これでは交通量の増加に伴った渋滞が発生して当然であった。
しかし、新和田トンネルの延伸区間の開通によって、
岡谷市以南(伊那市方面)と、岡谷インター&塩尻方面に向かう車は下諏訪町の中心部を通らずにすみ、
走行距離&時間も短縮することができるようになった。これは本当に大きい。
特に国道20号バイパスを経由して、長野道岡谷インターと接続したことで、
今まで以上に新和田トンネルの交通量が伸びることが期待できる。
上の問題点で提起していた料金所の件も、予想通り新たな料金所は建設されず、
延伸区間のみを利用するのであれば、料金がかからない点も二重丸といえる。
この延伸区間開通については、いうことなしであろう。
ちなみに延伸区間の開通に伴って、通行料金の改定が行われた。
普通車は20円安くなって600円になったが、中型車区分を新たに設け700円に設定、
軽自動車は80円、大型車は60円高くなったが、特大車は550円も安くなるなど、
車種によって前料金との差に違いが生じている。

今回が初めてこの道路を走行するだが、
今回は和田村(現長和町)から下諏訪町に向かって走行してみた。
国道142号線を和田峠に向かって登っていくと、旧道との交差点に差し掛かる。
旧道は右に反れていくが、バイパスは幅のある走行しやすい道路が続いている。
バイパスをさらに登っていくと、ようやく料金所が見えてきて有料道路区間に入る。


料金所近くから振りかえって和田村方面を撮影

料金所手前左側には、公社の建物があり、その反対側にはトイレが併設されている。


料金所近くのトイレ

料金所を過ぎると、1000mを越す男女倉大橋を渡る。
橋を越えるときつい上りになる。登坂車線もあるので、大型車による30km走行を余儀なくされることもない。
その後は一旦登坂車線がなくなってしまうのだが、再び登坂車線が現れて実に走行しやすい。
三才山トンネル有料道路に比べても、登坂車線の距離はかなり長いので、その点は評価できる。


男女倉大橋からの景色

新和田トンネルに向かって上っていく

登坂車線区間

新和田トンネルは、1922m。三才山の5分の4の距離である。
両側に歩道があり、三才山トンネルより若干新しいので設備などがある感じがする。


新和田トンネル和田村側

新和田トンネル下諏訪側

トンネルを出ると下りになり、すぐ旧道が合流して有料道路区間は終了する。
その後も長い下りだが、上りは登坂車線が設けられているため、こちらも大型車を追い抜いて走行できる。
トンネル両側とも、ト反射線が完備されている点では、三才山より分があると思う。


新和田トンネル有料道路下諏訪側起点

ついでなので、旧道の和田トンネルまで寄り道して行ってみた。
信号による交互通行がされているので、確かにトンネルは狭かった。


旧道の和田トンネル

走行レポートはこれで終わりだと思っていたら、下諏訪への下りで延伸部分の道路を発見。
ついでなので新道もレポートすることにした。
現道から右に分かれると、いきなり橋を渡ってトンネルに入っていく。
既に国道142号のおにぎりまでしっかり立っていた。
歩いてトンネルまで近づいてみると、トンネルは「木落し坂トンネル」であることがわかった。
プレートには、延長499mと書いており、既に2000年12月には完成していたことが書かれてあった。
さすがに供用してないトンネルを、歩いて攻略するのはマズイと思って退却した。


延伸区間の新道部分にある、木落し坂トンネル

車に戻って現道を下っていくと、新道のバイパスが現道の横に再び現れて、またトンネルが見えた。
そのトンネルも取材するために、崖をよじ登って誰もいないバイパスに。
2つめのトンネルは「湖北トンネル」であい、こちらは長く2151mと書かれてあった。
2001年3月完成であり、これもすでに3年近くたっていることになる。
こちらもトンネルには入らずに、撤収した。


2つめの湖北トンネル

湖北トンネルから新道を望む

ここから先は現道から大きく反れてしまったので、その続きの部分はレポすることができなかった。

【感想】
延伸部分の新道は、さすがに非常にいい道であった(当たり前)。
既に完成しているようで、国道20号バイパスの完成待ちは本当のようだ。
ただ、これだけのいい道なのだから、一刻も早く供用してほしいと思う。
岡谷市の長池交差点までの142号バイパスのみの開通でも、それほど問題ないと思うのだが、
どうなのだろうか。
また岡谷インターから長野道に乗るとき、国道20号下諏訪岡谷バイパスの工事を見ることができた。
どうやらインターチェンジに接続するようで、これが開通すれば新和田トンネル有料道路から、
長野道への接続が非常に容易になると思われ、一刻も早い開通が望まれる。
果たして開通はいつだうか。

2004年2月27日公開

2004年4月3日。延伸部分の初走行に出向いた。
新和田トンネルをくぐって下諏訪町に入り、中心部に向かって下っていくと、
見覚えのある新道のトンネルが見えてきた。
延伸区間の開通に伴って、交差点も改良されていて、新和田トンネルから下ってきた車は、
そのまま新道に入っていくようになっていた。
以前の旧道へは、交差点を左折する形に改良されていた。


新たに開通した区間への入り口。木落し坂トンネルが遠くに見える。

新道区間に入り、木落とし坂トンネルに入った。
がこのトンネルは短いため、あっというまに抜けてしまった。
右カーブを抜けると、もう湖北トンネルの入り口が見えた。


湖北トンネルを望む

湖北トンネルはさすがに2000m以上あるため、結構長い。
しかしなにより驚いたのは、トンネル内の広さであった。
下の内部の画像ではわかりにくいが、一般国道のトンネルとしては破格の広さといっていい。
「広れ〜」
という言葉が自然とでてきたのだから。
またセンターラインにポールが立っていないのも、好印象であり非常に通行しやすかった。


湖北トンネル内部

昼間に走行したため、出口から入ってきた日光によって、トンネル内部もかなり明るくなっていたのも、
今まで経験したことであり、トンネル内部の広さを改めて実感した時だった。
トンネルを抜けると、目の前に交差点があり、ここで延伸区間は終了。
直進は県道となって国道20号本線に接続し、さらに直進すると岡谷市に達する。
交差点を右折すると、国道20号バイパスとなって岡谷インターに接続している。


延伸区間の岡谷市側起点と、湖北トンネル岡谷側。

国道20号バイパスからの青看。

2004年4月11日加筆

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