魔法の天使クリィミーマミ全話レビュー
OVA第1作、第2作、ほか
クリィミーマミサブタイトルランキング 第1〜26話のレビューへ 第27〜52話レビューへ
私の好きな歌ランキング2007
第8位 美衝撃
第12位 LOVEさりげなく
第19位 BIN・KANルージュ
OVA第1作(第53話) | 永遠のワンスモア | 1984年10月28日発売 |
「永遠のワンスモア」は、TVシリーズ終了から4ヵ月後の1984年10月28日に、 OVAとして発売された「マミ」の完全新作である。 1983年に、「マミ」を製作したスタジオぴえろの、「ダロス」によって始まったOVAは、 翌84年にはその「ダロス」の続編を含め、既に5本の作品が発売されていて、 TV、映画、に続く第3の媒体としての地位を、徐々に固めつつあった。 しかしOVAは、作品そのものの魅力で売り上げを出さなければならず、リスクも大きかった。 そこで人気のあったTVアニメの続編を、OVAで発売する方法が見出されてきていた。 「マミ」は、ちょうどその時期にTVシリーズが終了。 しかし元々人気が高かった作品であったうえ、 最終回のエンディングでメインキャラのその後を描いたことが、ことのほか評判がよく反響が大きかった。 そのうえ熱烈なファンからの応援があったり、さまざまな条件が重なったことで、 OVAで新作を出すことになったのである。 そしてその新作「永遠のワンスモア」は、TVシリーズの続編OVAとしては、 なんと世界初の作品になったのでる。マミファンとして誇れることのひとつである。 そしてその「永遠のワンスモア」は、前半45分をTVシリーズの総集編、 後半40分がTVシリーズの後日談を描く新作部分という、2部構成になっている。 これはおそらく、「マミ」を観たことがない人にも、この作品がどういうアニメか、 というのを理解してもらった上で、楽しんでもらいたいという配慮からなのだろう。 いかにも初のTVシリーズ続編OVAらしい作りである。 その総集編部分は、1話、2話、25話、26話、27話、50話、51話、52話の計8話、 つまり核となる魔法にかかわる重要なエピソードのみにしぼって編集されていて、 数々の豊富なエピソードは大胆に省いている。 その中でつなぎとして、31話のマミのダンスシーンのみをピックアップしているが。 そしてネガによる新録ナレーションのほか、作中のセリフもすべて新たに録り直されている。 またBGMも一部変更を加えてある。 これにより、TVシリーズとは若干違った印象を受けるシーンもあるかもしれない。 私としては、守くんの声優さんが代わってしまった後につくられた、 第51話の守くんのセリフが、前の神保なおみさんの声で聴けたのが一番嬉しかった。 ということで、守くんの声も元に戻ったこの「永遠のワンスモア」は、 脚本・・・伊藤和典 キャラクターデザイン・・・高田明美 作画監督・・・川内日出夫、後藤真砂子 絵コンテ・演出・・・望月智充 美術監督・・・小林七郎 チーフディレクター・・・小林治 と、TVシリーズのベストスタッフがそのまま製作されている。 これだけでもファンには感涙ものなのに、ほとんどの設定をTVシリーズから流用しているため、 TVシリーズとまったく変わらない雰囲気で作られており、 OVAであることを生かしたハイクォリティーの映像、そしてすばらしいシナリオと合わせて、 ファンから絶大な支持と賞賛を得ることになるのであった。 なにより望月後藤コンビが担当してくれたのが、嬉しいですね。 TVシリーズから数えて通算10話目。このコンビが担当しているなら、もうそれだけで名作ですよ。 今回第53話とカッコで書いたのも、あながち嘘ではない。 第53話として放送されたとしても、まったく違和感のない作りであることは前述したが、 スタッフのキャラ表にも実際に、「53話」とナンバリングがしてあったからだ。 だから今回は、あえて第53話とも書いておいた。 さて、その「永遠のワンスモア」の話だが、 ファイナルステージから2ヵ月後に起こった、クリィミーマミのカムバック騒動を描いたものである。 立花さんが極秘裏に進めてきた「プロジェクトM」とは、一体何なのか?、 マミのカムバックの噂は本当なのか?、だとしたら一体誰なのか?。 そして、そのプロジェクトに絡んでいると思われる、立花さんと一緒に帰国した、謎の少女早川愛。 愛ちゃんは、最終回のエンディングにみどりの恋人として登場していたが、 この「永遠のワンスモア」で作品初登場し、以後レギュラーキャラの仲間入りをすることになる。 「マミ」のファンなら、愛ちゃんを嫌いな人はいないでしょう。 もちろん私も、愛ちゃんは大好きです。愛ちゃんが登場してくれたのも、 この「永遠のワンスモア」が名作な理由のひとつでしょう。 「永遠のワンスモア」は、守くんがネガとポジによく似た野良猫を神社で発見し、 その猫を優に知らせるシーンから始まります。 優を連れて神社にきた守は、本堂の床下に案内して、その猫と優が対面。 優はその猫を見た瞬間、「ポジ〜、ネガ〜!」と叫び、その猫をつかまえて家で飼うことにしました。 守くんが登場するのは、実はこの神社のシーンだけ。 少々寂しいですが、あとはマミがらみなストーリーなため、 マミにそう興味のない守くんを、本筋にからめるのは難しかったのでしょう。 ま、しょうがないですね。ここに登場してくれただけでも、良しとしないと。 ちなみに猫が最初入っていた箱の中にあった、マミのピンナップは、 第50話でスタジオで撮影していたビキニ姿のものですね。 優は家に帰ってその猫を洗い、ノラポジ、ノラネガと名づけるのですが、 確かにポジとネガにそっくり(笑)。だから、あんな猫が実際にいたら、私だって飼いますって。 まあ、なっちゃんの言う通り、ポジとネガに比べたら、賢くないですが(苦笑)。 嬉しいのは、第50話以来の優の入浴シーンです。サービスシーンの入れ方がうまいですね。 その頃、立花さんがロサンゼルスから帰国した。早川愛という少女を連れて。 帰国してすぐ、まもちゃんと「プロジェクトM」の企画を始める立花さん。 愛「はじめまして。あたし、早川愛です。慎悟には、ロスでずいぶんお世話になりました。」 愛ちゃんの初セリフがこれ。めぐみさん以外に、立花さんを「慎悟」と呼ぶキャラが出てくるとは。 優は俊夫、みどりとプールに遊びに来ていたが、そこでみどりが聴いていたラジオから、 マミちゃんにカムバックの噂があり、現在アメリカでダンスのレッスンを受けている、 という情報が入る。帰り道でそのことを話すみどりであったが、優と俊夫に一笑されてしまう。 しかし楽器屋に飾られていたポスターは、近日発売されるマミのイメージビデオのもので、 さらに「今帰ってきたクリィミーマミ」とまで書かれてあった。 その言葉に、優と俊夫はしばし固まってしまう。 みどりがあわててラジカセを持ったままプールに入り、ラジカセが壊れてしまうシーンも、 自然な描き方であり、とても面白くていいですね。 また踏切や、ポスターが飾られていた楽器屋は、第46話に登場した思い出深い場所ですね。 そんな騒動が勃発し始めていた時、優のもとにポジとネガが休暇をとってやってきた。 ポジ「あんたも物好きねぇ」 ネガ「あんだよ」 ポジ「ピノピノがせっかく休暇をくれたってのに、なんでこんなとこ来なきゃいけないのよ」 ネガ「おまえも冷たいな。優がその後も変わりないか、ちゃんと元気にやってるか。 ちっとは気になんねえのか。」 ポジ「そりゃなるけど、会えばまた別れがつらくなるじゃない」 ポジよりもネガのほうが優の事が気になっているのが、嬉しいです。 ポジ「帰ろう」 ネガ「あいつ、なんか困ってるんじゃないか」 ポジ「またぁ。ピノピノに言われたでしょ。何もするなって。」 ネガ「観てるだけならいいんだろ。何もせんでただ傍にいるだけなら、いいんだろ。」 ポジ「そうね。どうせあたしたちの休暇なんだもんね。」 そう言った2人は、優の部屋に入っていき、ノラポジとノラネガに魂を乗り移るのであった。 このシーン、個人的に大好きです。ポジとネガが優を観に来てくれたことが、ホント嬉しいです。 ノラポジとノラネガが自分からフードに入ったことに、優は嬉しくてしょうがないが、 それを俊夫に見せると「まるでポジとネガが入ってきたみたい」と言われ、 まさかマミも戻ってくるのか?、と優と俊夫は目を合わせてしまう。 ノラポジとノラネガじゃ、ポジとネガより重たそうな感じですが、どうなんでしょう。 フードに仲良く入っているシーンは、なかなかかわいいですが。 パルテノンプロに貼ってあるポスターは、 第8話での、めぐみさんのすっぱい屋の梅干のCMでのおにぎりを持ってるシーンのと、 第37話での、マミ主演映画第1作「マリアンの瞳」のポスターですね。 木所さんにマミの事を聞くと、立花さんはロスでマミに会ったとのこと。 ただ木所さんも詳しいことはわからず、もしかしたら今でも立花さんはマミと連絡を取り合っているのかも。 そこに愛ちゃんが部屋に入ってきて、優たちは初めて愛ちゃんの存在を知ることになる。 そしてみどりは、愛ちゃんのことを好きになるわけだ。 ロスで立花さんがマミに会った、ということが本当か確かめるため、優らはお好み焼き火の車へ。 もちろんスネークジョーに会うためであり、久美子さん登場。通算4度目。今回はしゃべってくれます。 また久美子さん、妊娠中でお腹がふくらんでますね。 で、そのジョーはうまいことにめぐみさんと会談中。通算9度目の登場。 ジョーはめぐみさんに、マミが既に日本に帰っていること、 ロスのダンススクールにマミの入学の書類があったこと、を話していた。 さすがジョー、お好み焼き屋になっても、腕はおとろえてないね。 優と俊夫はそこに現れ、めぐみさんにもうマミちゃんには戻ってきてほしくないことを伝える。 こうして、優と俊夫はめぐみさんと協力して、マミ再デビューを阻止することになるのだが。 「右に同じ!」 には爆笑させられました。その後の、優のきばシーンもうれしい演出です。 しかし、マミ再デビューは予想以上に進んでいて、立花さんはTVのインタビューで、 マミ復帰第1作は日米合作SF映画の主演であること、 さらに1週間後にマミカムバック前夜祭コンサートが行われることを発表されてしまう。 優と俊夫は木所さんに、マミの前夜祭コンサートのチケットをもらおうとしたが、 全席招待客でおこなわれチケットは出していないうえ、 木所さんですらプロジェクトチームから外されてしまったため、どうにもならなかった。 優と俊夫はその夜話し合った。 俊夫は偽者だと言ったが、優は誰かが自分と同じようにフェザースターの箱舟を見た人が、 ピノピノから魔法のコンパクトを授かったのではないかと考えた。 そして、その第二のクリィミーマミの存在に、愛ちゃんを疑い始めていた。 めぐみ「それだけ?」 木所「なんなら、もういっぺん言いましょうか?。早川愛、11歳。父が外交官で、5歳の時からアメリカ暮らし。 現在夏休みを・・・」 めぐみ「私が知りたいのは、なんであの子が慎悟と一緒に日本に来たかよ。」 木所「社長、ロリコンだったんすかね?」 めぐみ「木所さん!」 わははは。木所さん最高。ホントにそういうストーリーだったら、それはそれで面白かったかも(笑)。 とまあそんな具合で、めぐみさんも愛ちゃんがマミの復活に一役買っているのに気付き、 愛ちゃんを乗せている立花さんの車を尾行し、カーチェイスが繰り広げられるのだが、 あっさりめぐみさんの車は道路上の穴に落ちてしまう。 って、あんな大きな穴道路に開いてます? そして優も行動をおこし、TV局に出向き愛ちゃんとお話をすることができた。 優がゴジラの首をかぶり、愛ちゃんがメーサー車で「バン!」と撃つシーンは、 スタッフの遊び心が伺えて、思わずニヤリとさせられるが、 その後の愛ちゃんの会話では、時間がなかったために思ったことを聞けなかった優であったが、 愛ちゃんは帰り際に衝撃の言葉を発するのであった。 「優、もしかしたら、あなたも方舟を見たんじゃない?」「方舟?、見てないと思うけど」 このセリフには、ポジとネガもびっくり!。 なぜ愛ちゃんが方舟の存在を知っていたのか?。まずまず疑惑は深まるのであった。 愛「優にはまるで計算というのがないのよ。とっても素直で、あんな子珍しいわ。 私、あの子の前で一つの役を演じている自分に気がついちゃったから、そしたら、なんだか・・・」 立花「考えすぎだ。単に育った環境の違いさ。外交官の娘なら、 小さな頃からかけひきに長けていても不思議はない。それは、恥じることではあるまい。」 愛「だったら、外交官の娘になんか、生まれたくなかったな。」 なんと愛ちゃん、あんな少し優と話をしただけで、そこまで優の性格がわかったのかい? とても優と同い年とは思えません。ホント大人っぽいなぁ。 俊夫「立花さん、優見ませんでした?」 立花「テレビ局に来てたが。」 みどり「あ〜、やっぱり行き違いだ」 俊夫「しょうがねえな、あいつ。宿題が山と残ってるのに。よし、行くぞ。 とっつかまえて宿題をやらせないと、俺までおばさんに怒られちゃうよな。」 愛「友達か。うらやましいぞ、バーン!」 みどり「(なぜか倒れるみどり)」 愛「あはっ」 つまり、友達がいっぱい出来たという、愛ちゃんの優への言葉は、嘘だったわけで、 そんな愛ちゃんの矢が、みどりに命中したわけですね。 このとき、みどりの愛ちゃんへの恋は、既に成就していたのかも知れませんね。 愛ちゃんの驚いた笑顔は、とてもかわいいです。 その後優は愛ちゃんと話す機会もなく、ついにマミのカムバック前夜祭コンサート当日を迎えてしまった。 優は第8話以来?となる、ホントに久々のローラースティックを使い、 俊夫、みどり、木所さん、めぐみさん、そしてスネークジョーとの秘密の会合に臨んだ。 しかしスネークジョーをもってしても、マミのコンサートのチケットを手に入れることは出来なかった。 そのうえめぐみさんと木所さんも、今回は関係者ではないので入れないらしい。 そこでスネークジョーは提案した。コンサートに入りたくても入れないのは、俺達だけじゃないことを利用し、 大々的に今日のコンサートのことを告知し、大勢のマミのファンをコンサート会場に集めてしまおうと考えた。 そう、「アンチプロジェクトM」が開始されたのだった。 5人が一線に並んで歩くシーンは、私はGメン’75を思い浮かべたが、 どうやら真昼の決闘のパロディらしい。 しかし優だけ背が低く、カメラが下がる演出は、笑ってしまう。うまいなぁ。 それとジョーよ、お好み焼き屋になってから、すっかり人相が良くなったよ。 アンチプロジェクトM。 優は、てっちゃんに電話して、クレープカーで来てスピーカーでコンサートのことを宣伝して欲しいと頼み、 俊夫は、かつてのマミの親衛隊長に電話してコンサートのことを伝え、 木所さんは、なんとマミの元ファンクラブに電話(これって兵藤進ノ介?)、 そしてめぐみさんは、ラジオのDJをしている知り合いに、番組内で告知してくれるよう頼んだ。 その甲斐あって、会場の亜細亜サンプラザには大勢のファンが駆けつけ、 入り口は既に会場に入れて欲しいファンと警備員の間で大騒動が起こり始めていた。 そしてジョーが仕上げを。 消防署には火事だといい、警察には大掛かりな麻薬密輸組織の取引があるといい、 おまけに出前の注文まで勝手にしてしまう。もうやりたい放題(笑)。ばれたらつかまるぞ。 その結果警備員は全て入り口に集中してしまい、裏口の警備が手薄になったところで、 優たちは会場内に侵入することに成功。 おまけにコンサート開始時刻になったため、ファンがさらに押し寄せ、 入り口の封鎖もついに破られ会場内に進入。 優たちは一足早くステージに着いたが、そこには誰もいない客席が。 立花さんは優たちの進入に怒るが、そこに大勢のファンが詰め掛け・・・。 立花「まったく、バカなことをしてくれたものだ。」 めぐみ「慎悟がいけないのよ。どこにもいないマミをカムバックさせるなんて、プロジェクトMが聞いて呆れるわ」 立花「それは違う。そもそもプロジェクトMとは、どこにもいないマミを、 さも居るように思わせるための計画だったんだ。」 めぐみ「なんですって?」 立花「ロスで、彼女と出会ったのが事の起こりだ。」 愛「いいえ、正確にいえば、あのコンサートの日。あの時、空に舟が浮かんでいると言った子がいたんです。 私は、冗談かと思いました。それに、あの不思議な光や、最後にクリィミーマミが消えたのも、 何か装置を使ったトリックだと思ったんです。」 立花「しかしあのステージには、なんのトリックもない。それは皆が知ってる通りだ。」 愛「慎悟と会ってそう聞かされたとき、小さな子が言った舟の話を思い出したんです。 あの時、本当に舟が浮いていたんじゃないかって。」 めぐみ「それと今度の事とどう結びつくの?」 愛「あたし、自分の目で確かめたかった。本当にそんな舟があるのかどうか。だから、今度の事を考えたの。」 優「カムバック騒ぎで、マミが出てくると思ったんだね。」 俊夫「そしてひょっとしたら、舟も・・・」 愛「ええ。」 立花「ダンス学校の入学書類を細工し、噂を流し、いろいろやったが全てダメだった。」 めぐみ「あきれた。慎悟、あなたも舟が見たかったわけ?」 愛「まさか。計画がうまくいけば、たとえクリィミーマミの実体はなくても、もう一度人気に火がつく、 そう考えたから協力してもらったんです。」 立花「読みは当たったよ。レコードは売れた。」 ポジ「なるほどねぇ。」 ネガ「感心するな!」 なるほど〜。やはりあのファイナルステージの時に、優や俊夫以外に方舟を見た子供はいたんだね。 ま、それはいいとして、立花さん、いくらなんでも架空のコンサートはやりすぎでは? こんなことがマスコミにばれたら、業界から袋叩きにあうよ。 また、このプロジェクトにまもちゃんも乗っちゃうってのが、なんとも。 みどりはその話を聞いていて、ついに我慢できなくなり、愛ちゃんに「だめだよ、そんな話しちゃ」 と泣きながら怒るのであった。でもみどりよ、愛ちゃんが優ちゃんみたいだって言ってたけど、 それは違うと思うぞ。正反対じゃん、性格なんか。 まもちゃん「それよりさ、待ってるファンをどうするんだい!。えっ、立花さんよ!」 立花「そ、そうだ木所、お前マミの扮装して、舞台で歌って来い。かわいいぞー。」 木所「何言ってるんですか、やですよ。」 立花「やるんだよ、木所〜。」 こんな修羅場になってまで、まだ笑わせてくれますか。まったく立花さんったら。 と、そこにステージの方から、「LOVEさりげなく」のイントロが流れてきた。 あわてて会場に入ると、そこにはなんと歌っているマミの姿が! 優が唖然となって、ステージで歌っているマミを観ているシーンは、 まさに今までになかった構図であり、非常に面白い。 ま、実はこのマミはネガの力による虚像であり、本当のマミではないのだが、 そんなことは優も知る由もなかった。 しかし、本当に見事なシナリオである。 プロジェクトMのことを探ることが本題のようになっていて、その謎がようやく解明されたところに、 今度はマミの、まさにワンスモアのステージがクライマックスを飾る。 「永遠のワンスモア」というタイトルは、まさにこのもう一度のマミのステージのことであるが、 このマミのステージは、アニメで会場内にいたファンにむけてのワンスモアと、 このアニメを買った我々に向けてのワンスモア、という2つの意味を持っているわけで、 たとえネガが映し出した虚像であったとしても、もう一度マミが歌うシーンを観ることができた喜びは、 筆舌に尽くしがたいものがある。まさにワンスモアにふさわしい内容である。 とどめに今度はポジが、愛ちゃんの為にフェザースターの方舟を力を使って見せてあげてしまう。 ホントにピノピノに怒られないかな?。こんなことしちゃって。 愛ちゃんが、アメリカに帰ることになり、空港へ見送りにきた優たちであったが、 最後にみどりの前に来ると、みどりが持っていたお菓子を食べ、 「君、いい線いってると思うよ」 と告白。来年日本に帰ってくることを伝え、エスカレーターに降りていく愛ちゃんに、 みどりは「愛ちゃ〜ん、さようなら愛ちゃ〜ん」と返すのでした。めでたしめでたし。 で、愛ちゃんは一体みどりのどこが気に入ったの?。ぜひ一度聞いてみたいものです。 そして「永遠のワンスモア」いよいよラストシーンに。 空港を出た優であったが、いきなりフードに入っていたノラポジとノラネガが、騒ぎ出してしまう。 今まであれほどおとなしかったのに。 そう、ポジとネガがフェザースターに帰っていったからなのだが、 そこで優はハッと気付くのであった。 「来てたんだ!。ポジとネガが来てたんだ!。」 そして優は、見えないポジとネガに向かって、大きく手を振りながら叫ぶのでした。 「お〜い、優は元気だよ〜!」 これなんだよ〜!、これを観たかったんだよ〜!。 と今でも声を大にして言いたいほどの名シーン。 私はこのシーンを観るために、今まで「マミ」を観てきたんだと、初めて観たときに思いました。 ネガとポジに向かって叫んでいる優の笑顔は、私がこれまで観てきた「マミ」の中での、 文句なく最高の優ですよ。 最後の最後に最高の優を持ってくるなんて!。すばらしい締めくくりです。 やっぱり「マミ」って本当にすごいよ。 あとラストシーンで優が立っている路面には、でっかく「53」とペイントされてますが、 まさにこれは、この「永遠のワンスモア」が第53話であるよ、というスタッフからのメッセージですよね。 にくいね。 最後にこの「永遠のワンスモア」のエンディングについて述べるとしよう。 この「永遠のワンスモア」には、実は2つのエンディング曲が存在する。 ひとつは「美衝撃」。もうひとつは「囁いてジュテーム」である。 なぜ2つのエンディング曲が存在するのか。 それは「美衝撃」が初回限定版のみのエンディング曲であり、 TV放送版&再販版のエンディング曲には「囁いてジュテーム」が使用されているから。 私が初めてビデオをレンタルして観たのでは、「美衝撃」が流れたが、 のちにLDボックスを購入して観たら、「囁いてジュテーム」が使われていて気付いたのである。 どっちがこの作品のエンディングにふさわしいか、となると非常に難しい。 アップテンポの「美衝撃」と、バラードの「囁いてジュテーム」、正反対の曲であるが共に名曲であるから。 ただラストシーンでの優のアップで終わる感動をそのまま引き継ぐには、 「美衝撃」のほうが余韻を残していいかも。 (2004年9月29日加筆) |
||
OVA第2作 | ロング・グッドバイ | 1985年6月15日発売 |
OVA第1作「永遠のワンスモア」の成功を受けて、翌1985年6月15日に発売されたOVA第2作が、 この「ロング・グッドバイ」である。 「ロング・グッドバイ」が、「マミ」最後の作品である。 もちろんこの後に、ミュージックビデオ2本目の「カーテンコール」が発売されていて、 その中にも新作映像が入っているし、 またミンキーモモとの同時上映でこの「ロング・グッドバイ」が劇場公開されたとき、 モモとの共演が新作映像で実現しているから、 この「ロング・グッドバイ」の後にも「マミ」の新作は作られたが、 正式な作品としてはこの「ロング・グッドバイ」が最後の作品である。 脚本・・・伊藤和典 キャラクターデザイン・・・高田明美 作画監督・・・後藤真砂子 絵コンテ・演出・・・望月智充 美術監督・・・小林七郎 総監督・・・小林治 「永遠のワンスモア」と同じくベストメンバーのスタッフによって作られたこの作品は、 OVAの利点を生かしたハイクォリティーの画質と、緻密に練られたシナリオによって、 これまたファンの絶大な支持を受け、成功を収めるのであるが、 TVシリーズから2年後、優が小学校を卒業して中学生になろうとする春休みの設定なため、 キャラを新たに描き直し、優が大人っぽく描かれていたため、 TVシリーズから観てきたファンの中には、がっかりしてしまった人もいるのかもしれない。 私でさえ、正直に言うとまったくこの「ロング・グッドバイ」の優に抵抗がなかったか、と言われると、 少なからずあったわけで、すばらしい名作であると思っていながら、 「マミ」のサブタイトルランキングでトップ10に入らなかった要因が、この優にあったと言えなくもない。 ただ誤解されると困るので言っておくが、私はこの作品がそれでも大好きである。 なにしろ最初にこの作品をレンタルした際、1日で3回も観てしまう程ハマってしまったくらいだから。 「ロング・グッドバイ」は、優の小学校の卒業式の日から始まる。 セントレミー学園小学部の卒業式を、制服で出席した優は(制服があったとは知らなかった)、 式後俊夫と2人で、立花さんとめぐみさんの婚約記者会見を観にいくのだった。 いきなり優のモノローグで入りますが、北海道に帰ってしまった守くんへのメッセージにしている点に注目。 脚本の伊藤氏はかなりシナリオに苦労したそうで、それでも守くんだけはどうやっても出しようがなく、 このような形で名前だけ優の口から語られる演出にしたそうな。 この「ロング・グッドバイ」のオープニングテーマは、太田貴子7thシングル「ハートのSEASON」。 アニメでは2番が使用されている。これはなかなかの傑曲。 某ホテルでおこなわれていた、立花さんとめぐみさんの婚約記者会見。 TVシリーズ最終回の通り、立花さんはめぐみさんに記者会見中にぶたれてますが(苦笑)。 なんでもめぐみさんの主演SF映画の2作目を作るそうで。 そこへ会場に入ってきた優を、とある記者が「マミだ!」と勘違いして発したため、 立花さんはうろたえて立ち上がり、未だマミへの想いが捨て切れていないのを感じ、悲しむのであった。 その夜、めぐみさんは木所さんと酒を飲み、マミへの愚痴をもらし酔いつぶれてしまう。 木所さんはめぐみさんをタクシーで家まで送ると、 めぐみさんは木所さんがいてくれて良かったって思うことがある、と言われ、 一念発起してその翌日から会社を休んでアパートに篭ってしまう。 いや〜、確かに今回のめぐみさんは、いつにも増して色っぽいですよね。 そんなめぐみさんに、木所さんが淡い恋心を抱いてしまうというのも、想像していなかった展開ですが、 わからんでもないです。 めぐみさんに会社を休んでいる木所さんの様子を見てきて、と頼まれた優は、 愛ちゃんと待ち合わせをして木所さんのアパートへ向かった。 愛ちゃんは、あまり変わってないような感じですね。相変わらずかわいいですね。 でも木所さんのアパートに向かう途中、ブラジャーの話をしていたりして、 優も愛ちゃんもしっかり成長しているんだな、と感じずにはいられないシーンです。 で、愛ちゃんは、もうつけているそうで。それは良かった(何が)。 木所さんは会社を休んで、めぐみさんの為に映画用のシナリオを書いていたわけで、 立花さんもめぐみさんもそのシナリオに満足するほどの出来であった。 しかしまだ製作が決定しているだけで、作業に取り掛かる段階ではなかった。 ところがそこへまもちゃんが入ってきて、「よう!、俺に映画撮らせてくれるんだって?」 と切り出したもんだから、立花さんも「なに!?」と驚いてしまう。 さらに優、俊夫、みどり、愛の4人も入ってきて、製作に手伝うことに。 立花さんは最後まで抗議したが、結局「2つの世界の物語」で製作発表を行うことに。 優はなっちゃんに、「ねえママぁ、あたしもそろそろ欲しい〜」とブラジャーをねだるのだが、 「早いわよ。あんたまだまだなんだから。」と言われてしまう(苦笑)。 「うわ〜ん、いくらママでもヒドイ!。人の一番気にしている事を」 そうか、やっぱり優は気にしていたのか(苦笑)。 ここから「2つの世界の物語」の映画製作を、細かく描いていくことになる。 それはもう、やりすぎってくらい細部にわたって描いてます。 でも書くと長くなるので、映画製作の部分は省略します。 でも、めぐみさんの共演者を決めずに製作に入るてのは、いくらなんでもどうかと(苦笑)。 立花さんも、優をマミと見間違えてますね。これって優がマミになってしまう予兆だったのかな? そして翌日、優はお昼休みに体の変調をきたしたかと思うと、 自分の意思とは無関係に、そして魔法のコンパクトも使わずに、マミに変身してしまうのであった。 優を心配して来た俊夫は、優がマミになっていてビックリ。 地下駐車場にマミを連れて行き、そこでマミになっていることを確かめさせる俊夫。 昔のように呪文を唱えてみるが、やっぱり優には戻らない。 立花さんにマミを見られたら、とんでもないことになるぞ、と言った俊夫の前に、 立花さんがめぐみさんを乗せて車で入ってきた。あわてて隠れるマミと俊夫。 しかし予想通り立花さんに見つかってしまうのでした。 地下駐車場でのマミちゃんと俊夫の会話は、見ていて面白いです。 また「パンプルピンプルパムポップン」が聴けるとは思わなかったし。 しかしなによりここの見せ場は、立花さんとめぐみさんのキスの描き方でしょう。 車一台隔てて隠れているマミと俊夫の場所から、車の下のすきま越しに立花さんとめぐみさんの足だけ見える。 その状況でキスをしていることを誰にもわかるように描くなんて、見事な演出です。 「違います!、あたしマミじゃありません。実は、実は私、マミのそっくりさんなんです!。」 わははは。あいかわらずマミちゃんかわいいですねぇ。 で結局立花さんの説得に負けて、マミはめぐみさんの映画の相手役として出演することに。 なんと立花さん、マミをめぐみの相手役にしたのは、 クライマックスに演技以上の迫力が出るんじゃないかと期待しての起用なのだと。 なるほど、それは確かに期待できるかも。 で、マミはと言うと、夕方には突如優に戻ってしまうのでした。あー、めでたしめでたし。 てなわけにはいかず、翌朝にはまたマミになっていて、 昼はマミ、夜は優、という生活を送ることになってしまうわけで、そりゃもう大変。 なにしろ優に戻る前にスタジオから出ないといけないし、マミになる前の早朝に起きなきゃならない。 神経は使うし、体力は使うし、そりゃ疲れるよ。ヒロインってのは大変だね(苦笑)。 あ、家で優がベッドに横になるシーンで、頭を壁にぶつけてしまうが、これも優の成長を感じますね。 調布撮影所に向かうマイクロバスの中で、めぐみさんが「BIN・KANルージュ」をカラオケで歌うシーンは、 最高ですね。また非常に貴重ですよ。めぐみさんがマミの歌を歌ってくれるなんて、二度とないですよ。 実は島津冴子さん、ノリノリで歌ってたりして(笑)。 それと俊夫くんよ、ほんとーはマミちゃんにまた会えて嬉しいんでしょー。白状せい!。 マミちゃんに抱きつかれて、すんごく嬉しそうだったよ。 ちなみにこれだけは書いておくか。 「二つの世界の物語」の出演キャラは、 機械世界から、めぐみさん演じる「シータ」と(ラピュタじゃないよ)と、マミ演じる「オーラ」。 人間世界からは、めぐみさん演じる「綺(あや)」と、マミ演じる「由理」。 自分の世界の存続をかけて、2つの世界からそれぞれ2人の戦士が選ばれた。 勝ったほうの世界が存続を許されるわけで、4人は否応がなしに戦うことになる。 マミちゃん演じる「由理」は、非常にかわいいですね(そりゃマミなんだからかわいいさ)。 「二つの世界の物語」の撮影の一番の見せ場は、 なんといてもめぐみさん演じる綺が泉に入るシーンの撮影で、ヌードになれと主張する監督のまもちゃんと、 立花さんとめぐみさんとが解釈の相違によって対立するシーンであろう。圧巻とはまさにこのこと。 思わず魅入ってしまいますね。 そんなわけで、意を決して臨んだシーンを、部外者のマミによってNGにされたら、そりゃ怒るよ(苦笑)。 ちなみに「ごめんなさい」と謝るマミちゃんのセリフは、 実際に太田貴子さんが収録中にNGを出した時の声をそのまま使ったそうな。 めぐみさんは勘がするどいですね。木所さんと話を少ししただけで、 ひょっとしたら自分の事を好きになってしまったのか、とうすうす感づいてしまうのだから。 あまりにも映画製作の話をやりすぎなのでは(苦笑)、と思われても仕方がないのが、 アニメーションとの合成上がりの映像や、ライトフライヤーの変身シーンのとこですかね。 あそこまで見せる必要があったのか?、と言われるとないかもしれない。 おっ、やっとスネークジョー登場!。久美子さんまで出てくれて、嬉しい限りです。 すっかりカタギに戻ったのに、まだ立花さんに疑われてるよ(笑)。 みんなで休憩しているシーンで、差し入れを上から描いていますが、まったくうまい演出ですよ。 一体、いつになったらポジとネガは出てくるんだ〜?。 最初にこの作品を観たとき、いいかげん出てきてくれよ〜、と思いながら観ていたものである。 で本当にようやく、登場します。 優「疲れたなぁ。映画は体力だぞ。あたしなんか、二人分の体力使ってるんだもん。わかるか?」 ネガ「わかるよ」 優「は!?。ポジ、ネガ!」 するとノラポジとノラネガが光ったかと思うと、懐かしいネガとポジの姿が。最終回以来ですよ。 ポジ「元気?」 優「ずっと待ってたんだから。」 ポジ「まさかこんなことになってると思わなかったのよ。」 優「あたし、どうなっちゃったの?」 ネガ「それはだな、優の中に眠っているマミの記憶と、あと何だっけ?」 ポジ「2月に太陽に近づいた大きなほうき星の力が、引き合って起こった事故なんだって。」 ネガ「そうそう、もう心配ないぜ。すぐ直すから。俺達そのために来たんだしな。」 優「よかった〜。でも・・・」 ネガ「なんだ?。このままがいいのか?」 優「そうじゃなくて、まだマミの撮影が終わってないの。」 ポジ「じゃあ、このまままた魔法が使えるようになりたい?」 優「そんな」 ネガ「なりたくないのか?」 優「あと2、3日だけ。」 ポジ「それはダメ。たった今元に戻るか、それともまた魔法を持つか、どっちかよ。」 ネガ「もらっとけよ。必要な時だけ使って、あとはしまっとけばいいじゃないか。あれば便利だろ。」 優「だけど困る。あたし、あたしね、自分の魔法を見つけたような気がするんだ。 フェザースターの魔法は確かに素敵だよ。でもね、でも本当に素敵な事なら、 誰にも内緒にすることないと思う。みんなに教えてあげたいし、みんなで素敵になれたら、 もっと嬉しいと思うんだ。」 ポジ「そんな魔法を見つけたの?」 優「たぶん・・・俊夫がくれたんだ。だから・・・」 ポジ「わかったわ。」 ネガ「優、その魔法はなくすなよ。」 優「うん。」 優が自ら、再びフェザースターの魔法をもらうことを断るわけで、 「マミ」という作品が優の成長を描いた物語であることを、改めて感じさせてくれる名シーンである。 しかし、もし優がまた魔法を貰っていたとしたら、ポジとネガはまたお目付け役として地球に来たのだろうか。 まあそれは置いとくとして、「マミ」のファンは優にもう一度、ポジとネガに会わせてやりたい、 と誰しも思っていたわけで、本当に少しの時間であったが、こうやって再会することができて、 本当によかったな、と思ってしまいます。 で、その後まだ大島ロケと南アルプスロケが残っていたわけですが、 マミが消えてしまったので、なんと引きは俊夫が、アップは優がマミの代役として演じることに。 ってそんなのアリか〜?。いくらなんでも、俊夫とマミちゃんじゃ違いすぎるんじゃないの?。 これは単に、同じキャラデザが描いたからそう見えるだけでは(苦笑)。絶対無理があるよ。 それに、マミの体型に合わせて作られたオーラのコスチュームが、 俊夫に着られるわけないじゃないか。と思うのだが(笑)。 あ、アップは優がそっくり、というのは納得しますがね。 「うわぁ〜、雪だあ〜!」「雪に、足跡をつけるな〜!!」 「立花慎悟、汝は以下同文、誓うか?」 わははは。最後まで笑わせてくれます。 でクランクアップのパーティーで、立花さんとめぐみさんの略式での結婚式が行われるわけです。 木所さんは、自分でわかっていながら、失恋しちゃうわけです。 最後は、また守くんへの優のモノローグで締め、そしてファンの間で論争にもなった(?)、 優と俊夫のキスシーン直前で、「マミ」は終了となるわけです。 あの時、優と俊夫は本当にキスをしたのでしょうか? それとも最後に優が瞳をそらしたのは、未遂に終わる伏線なのでしょうか?。 なお今回優がマミに変わったのは、ハレー彗星の影響からで、次に地球にくるのは76年後。 そのときおばあさんの優は、またしてもマミに変わってしまうのでしょうか?。 締めくくりのエンディングは、B面の「ガールズ・トーク」。これも名曲です。 (2004年9月30日書き下ろし) |